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酔って化かされた
 桶川市の東のはずれ、むかしの小針領家村、赤堀川が元荒川に合流する手前に鍋っ蔓橋があります。 むかしこの辺りはススキやアシの茂る湿地や原野で人家も無く、人通りも少ないさびしい所でした。
 夏のある日、若者二人が蓮田まで出かけ、仕事が終わったのは夕ぐれでした。少しつかれたので軽く一ぱいやろうと居酒屋に入りました。ほんの少しと思ったのが、ついつい飲みすごして、この橋の所に来たのはもう夜半でした。
 橋を渡り、五町台の方に向かうと、元荒川の東側に赤いちょうちんの店が見えます。
酔って化かされた 「ハテ、あんな店があったのかな」
「ちかごろ出来たのかも知れない行って見よう」
長い時間歩いて来たので、ひと休みすることにしました。だが、ここには元荒川を渡る橋が無いので約二百メートル北にある大御堂橋(おおみどう)を渡って、東に向かいましたが先程の店が見つかりません。
「おかしいな、たしかにこの辺りなんだが」
「さっきの所でたしかめて見よう」
と、また元の道を引き返すと、たしかにあの店が見えるのです。
「やっぱりあるよ、行ってみよう」
また、橋を渡っていきましたが、どうしても見つかりません。二人は、行ったりきたりしているうちに、とうとう東の空が白くなっても店は見えず、畑の中に何本か大きな木が見えるだけでした。
「アッ、やられた」
「そうだ、化かされた」
二人はくやしがりながら顔を見合わせて大笑いしました。
 明るくなって家に帰り、父親に大目玉を食らいながらも理由を話すと家中大笑い、
「いい若い者が阿呆(あほ)たれて酒なんか飲んでるから化かされるんだ」
 みんなにからかわれてシュンとしていました。
 それから後、この二人の若者は、どこへ行っても仕事が終われば早々と帰るようになったそうです。

 この辺りに住んでいた狸が、二人の将来を案じて、いましめたのでしょう。