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おば捨て山
むかしむかしあったはなしです。その頃の人はみんな貧しい生活をしていました。米は少なく、木の実や草の根などを食べていることもありました。 人の数を減らすために、年をとって働けない人を捨てることがあり、そこはおば捨て山と言っておりました。
年をとった人を木の生い茂っている林のおくの方に置いてくるのでした。捨てられた人は、そこに静かにすわって
「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)、南無阿弥陀仏・・・・・」
と念仏を唱えながら死ぬのを待っていたそうです。
親思いの孝行息子がいて、その母親も年をとったので、他の家と同じように捨てなければなりません。
「おっかあ、ゆるしてくれよな。村のおきてで仕方がないんだ」
「ああ、いいんだよ。早くつれて行っておくれ」
息子は少しのにぎり飯を持って母親を背負って林の中に入りました。
「おっかあ、すまねえ、すまねえ」
ボロボロと涙を流しながら林の奥へ進んで行きました。
「もうこのあたりでいいよ。お前もすかれるだろうし、帰りの道もたいへんだから、さあおろしておくれよ」
母親の言葉にそっと背中からおろし、
「きぎり飯があるからこれを食っていてくれよね」
と言うと、
「おばあはもういいんだよ、家に持って帰ってみんなで食いな」
この言葉に息子は胸がつまってただ泣くだけでした。
自分のいのちが無くなるというのに、こんなにも家族のことを思ってくれる母親をどうして捨てられようか、いやがる母親をまた背負って村に帰り、村の人びとに許してくれるようにたのみました。
 村の人たちもこの孝行者に同情して、また一緒に住むようになりました。それからはどの家でも、としよりを捨てることはなくなったそうです。
(このはなしは加納に、同じような話が川田谷にもありました。)