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明星の井戸
 遠い昔のことです。桶川、上尾付近の人びとの目に、この近くから夜明けの星が飛んで出たように見えました。そして、空一面に紫の雲がたなびいて、その中に美しい天女が一人立っていました。
 その天女の手からふしぎにも、一本の細い糸がたれ下がっていました。
「あの糸のたれ下がっているのはどこだろう」
と、村の人びとは、その糸を目当てに走って行きました。その糸は太く見えたり、細く見えたりして、次第にぼんやりして雲がたなびいているように見えました。
 村の人びとは、この糸を見失わないようにして行くと、倉田のお寺の井戸から出ているのでした。  井戸のほとりでは、寺の住職が一心にお経を読んでいました。
明星院 「和尚さま、ふしぎなことですね」
「あなたがたもあの糸をみましたか」
と言って、つぎのように話しました。
 この間から、寺の近くで夜になると、ふしぎな音楽が聞こえるので、お経を読んでいるとその音はやんだが、昨夜はどうしてもやまないので、 音を頼りにしていくと、この井戸のほとりに一人の天女が立っていた。何か話しかけてくるように思われたので、傍らに行こうとすると、 天女の姿はパッと消えて、この井戸からキラキラと光る物が空に向かって飛び出した。アッと驚いて空を見上げると、一条の糸を引いて天女も空に上がってしまった。
 しばらくして空を見ると、天女の姿は消えて、そこには夜明けの明星が輝いていた。

と、いうことでした。
それからはこの寺の名を、明星院と呼ぶようになりました。