こぶ神様
 まだ石油や電気の無かったむかしの人びとは木を大切にしていました。ナラやクヌギなど良く燃える木を数多く植えて手入れをして、何年か経って切って薪として保存し燃料にしていました。
 加納のあるところの林に一本の大きな木が切り残されていました。地上二メートル位にコブのようなふくらみがいくつかあり、珍しいので切らなかったらしのです。
 ある人がこれは珍しい、飾り物にしようかと、のこぎりを持ち、はしごをかけて、
ギーコン ギーコン
と切り始めました。
こぶ神様  ところがどうしたはずみかはしごが倒れ、落っこってしまいました。幸いけがもなく手と足をすりむいたぐらいで済みました。少し痛むひざをこすりながら上を見ると、切り口に何かが見える。
「ハテ・・・」
と目をこすって良く見ると赤い血のようなものがタラリタラリと落ちてくるではありませんか。あのコブの中に木の精でもこもっていたのかもしれません。
「これはとんだことをしてしまった。どうかおゆるしください」
と手を合わせてしばらく拝んでから見上げると血の流れはとまっていました。
 その人は、どうにも気になって夜も眠れない日がつづいたので、コブの木の根元に小さな社を建てて毎朝お参りをしました。
 そして、林の木は切ってもこの木だけは残しておいたのでした。この社は、コブ神様として土地の人々は大切にしているとのこと・・・。