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結ばれぬ白狐の恋
 むかしから白狐は、神様の使い姫として、尊敬されておりましたが、千匹の中に一匹生まれるだけといわれておりました。
 ある時、大高山と、小高山に住む狐の中に二匹の白狐が生まれました。大高山のは牡で、小高山のは牝でしたが、どちらの狐も健やかに、 普通の狐のように育ち、普通の狐のように悪知恵もなく、その土地にお宮がないため、使い姫にはなれずに居りました。
 お互いに狐に生まれながら、神様のお使いも出来ずさびしい想いをしておりましたが、いつしか恋しあうようになりました。
 この小高山と大高山の間に基助と言う貧しい百姓が住んでおりました。基助は慈愛心も深く、いたずらをしない狐などは、とても可愛がって大事にしてくれました。
 ところが、基助の前に善助と言う強欲無情のいじわる百姓が住んでいたのです。そして、常日頃白狐を捕らえようと考えておりました。
 長い間たくらんでその機会を見つけておりましたが、とうとうその日が来たのです。
 ある春のおぼろ月の晩でした。その日は小高山の牝狐が、大高山の牡狐に嫁入りの日です。準備万端ととのい、大勢の仲間に送られて、にぎやかに灯の行列が大高山へと進んで行きます。
「今夜をのがしては・・・・・」
とばかり善助は、用意しておいた「わな」を道の端におくと、こっそり木陰にかくれておりました。
 そんなこととも知らず花嫁の行列は道を歩いて来ると、運悪く白狐がそのわなにかかってしまいました。狐たちは助けようとあの手この手でわなをはずそうとしましたが、 どうしてもとれず、白狐をかこんで泣いていましたが、夜がしらじらと明けてくると、一匹逃げ二匹逃げて、とうとうみんな逃げてしまい、白狐だけ善助に捕まえられてしまったのです。
   大喜びの善助は、白狐を遠くへしかも、とびきり高値で売ってしまいました。そのことを知った大高山の牡狐は、その日から何も食べず、愛する牝狐を案じて泣きつづけていましたが、 とうとううえ死にしてしまいました。白狐がいきているうちは王様として、つかえておりましたが、しかたなく言うことを聞いていた狐たちです。 白きつね もう王様はいないのだとばかり、畑を荒らし、家畜をおそい、大あばれを始めたのです。村人の丹精こめた作物は荒らされ、百姓たちはすっかり困ってしまいました。
「善助が白狐を捕り、大高山の牡狐が死んだからじゃ、きっとあの白狐のたたりにちがいない」
 そう思いつめた基助は、自分の庭先に稲荷様を立てて、白狐の比翼塚(ひよくづか)を立てました。比翼塚というのは、お互いに慕いあった若い牡と牝を同じところに、ほうむった塚のことです。 そして、それを狐塚と名づけたのです。

 それからは、作物の害も年々減り、百姓たちも喜び、村人たちもその塚におまいりするようになりました。貧しかった基助の家は、富み栄え、村でも指折りの大尽となったそうです。