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地蔵さまとタヌキ
 むかし坂田の道路に沿って大きな林があり、その中程に地蔵さまが立っていました。いつもニコニコしている地蔵さまにも困ったことが一つありました。
 それは隣村の太郎作さんが、町へ仕事に行った帰りに、地蔵さまの前で必ず小便をすることでした。
 何とかいい方法はないものかと思案していると、林に住んでいる狸がきたので相談しました。
「オイ、タヌ公、あの太郎作が毎日小便するので困ってんだよ。くらくて汚いし何とかならないかね」
「そうかね、いつもお前さんのお供え物をいただいているから、ご恩返しにやっていましょう」

ということになりました。
 そうとは知らぬ太郎作さん、今夜も町からの帰り、お酒を飲んでほろ酔いきげんで鼻歌をうたいながらたってきました。
「地蔵さん、こんばんわ」
声をかけると、道の向こうからちょうちんが見え、ボーッと明るくなりきれいな女の人が見えました。
地蔵さまとタヌキ  この辺りでは見かけたことのない美人がにっこり笑って太郎作さんを見つめているではないか。
「おお、これはこれは、こんばんわ」
と酔った勢いで思わず女の人に抱きつきました。
 しばらくしているうちに、何だか冷たい感じがするので、
「ハテ、変だな」
よく見ると、何と太郎作さんは地蔵さまを抱いていたのでした。
「ヤヤッ、これは何としたことか」
と思わず酔いもさめてしまい、
「いつもここで小便をするから、地蔵さまの罰が当たったのかも知れない、どうもすみません」
地蔵さまに頭を下げてションボリ帰って行きました。
「地蔵さん、もう大丈夫だよ」
「タヌ公、ありがとうよ」

 地蔵さまはいつものようにニコニコしていました。
 それから後、太郎作さんは、ここを通るときには、朝晩手を合わせて拝んで行き、小便をしなくなりました。