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イットコショダンゴ
 むかしあるところに心の優しい働き者の 若者が一人住んでいました。 たがこの若者は物ごとを忘れるのが欠点でした。 若者を見込んで隣村からきれいな花嫁さんが来ました。 二人は仲よく田畑を耕し幸福な日がつづきました。ある時、急に用事ができたので、若者が嫁さんの実家に行くことになりました。
「お前さん、気をつけていってらっしゃい」
「あいよ」

若者は元気よく走り出しました。嫁さんの実家では、
「よく来てくれたね、ゆっくりしなよ」
大そう喜んで、
「そうだ、今日はいい物がある」
と、串にさした丸い物を皿にのせ、
「さあ どうぞ」
とすすめるので、若者は、
「いただきます。あ、これはうまい、うまい、何という物ですか」
「これはダンゴというんですよ、良かったら娘がつくり方を知っているから家へ帰ったらつくってもらいなよ」

と言われたので、忘れまいと、
「ダンゴ、ダンゴ、ダンゴ、ダンゴ」
イットコショダンゴ と言いながら帰りを急ぎ、近道をしたところ、小さな堀の一本橋がこわれていたので、
「さて、困った。よし、とび超えよう」
と勢いよく、
「イットコショ」
と、とび超えました。そのときにダンゴを忘れてしまい、
「イットコショ、イットコショ」
と言いながら、
「今帰ったよ、今日はうまい物をご馳走になった。お前も知っているというからつくってくれよ」
「何だね」
「うまい物だよ。イットコショというもんだ」
「そんな物知らないよ」

と言われ、ハテハテ何だっけと拳で頭を打ったり、柱に打ったりしたが思い出せません。そのうちに頭の一部がプクッとふくれてきました。
「そんなに頭を打つからそれ、ダンゴのようなコブができたよ」
嫁さんにそう言われて、
「あっ、そうだ、そのダンゴよ」
と言ったとさ。